SIGN 2019.10.04

海外で進むOOHのデジタル化と日本の現状

日本の観光名所としてすっかり定着してきた渋谷のスクランブル交差点。現在、6面の大型サイネージが設置されており、そのすべてをジャックした壮大な動画広告配信も可能になっているなど、広告業界の注目度も今後落ちることはないと考えられています。

これら屋外の広告の事を、我々の業界ではOOH(Out Of Home)と呼んでおり、さらにデジタル色の強いものをDOOH(Digital Out Of Home)と呼んでいます。日本でのDOOHの取り扱われ方を、世界から見てみると、これからの伸びしろがわかります。

(Writer:リテールテック事業部 阪本 治彦)

日本はDOOH後進国

日本におけるOOHのDOOH比率は、2019年現在、約20.8%と言われています。この数値は全世界的に見ると極端に少ない数値です。アメリカで43.5%、お隣中国で41.8%。全世界平均でも39.7%ですから、その低さは十分におわかりいただけると思います。つまり、日本はDOOHにおいて後進国であると言えるでしょう。
※数値についてはこちらの記事中より引用させていただきました → 市場規模は1兆1000億円規模 ── ドコモと電通が5G活用も見据えたデジタル広告新会社を設立へ | BUSINESS INSIDER JAPAN 

すでにレガシーなOOH広告が広告主や消費者に根付いており、そのリプレイスが中々進んでいないという現状が伺い知れます。また、広告主の心理的に、動画配信をするのであれば、まずはネット及びテレビに…と、別媒体の優先度が高いことが予想されます。

DOOHはターゲティングが出来ない?

広告主がなぜDOOHではなく、ネット動画配信やテレビCMに流れるのか? それはターゲティングが可能かどうかが大きく作用していそうです。

ネット動画配信は、見ている人物の趣味嗜好や属性(年齢・性別等)をある程度特定しての配信が可能であることはご存知の通りです。またテレビCMも、番組の内容や時間帯等で、ある程度視聴者の傾向を絞ったCM放送が可能です。一方、DOOHは、道行く人のターゲティングが出来ません。「渋谷は若者の街」「新橋はサラリーマンが多い」等、なんとなくのイメージで出稿するよりほかはなく、これが広告出稿側の阻害要因となって伸び悩んでいる事が想像出来ます。

NTTドコモと電通が共同で設立した株式会社LIVE BOARDは、この問題を解決すべく、ドコモの行動メッシュデータ等を活用し、DOOH近辺のオーディエンス属性を取得、それを利用したターゲットを意識したDOOHへの出稿を可能にする為に設立されました。また、私共が提供しておりますesasyも、DOOHの年齢・性別別の視聴数の計測について、現在研究中です。

DOOHがネット動画やCMよりも有利な理由

DOOHを見ている(であろう)オーディエンス属性が取れる事によって、実はネット動画広告やCMよりもDOOHが有利となるかもしれません。

まず、ネット動画広告は「見なくても済む」仕組みがあります。そもそもインターネット上のコンテンツは無料で見ることが出来る、という不文律があり、その無料提供の原資となる広告は嫌われる傾向があるのは事実です。

また、テレビについては、リアルタイムで見ていない場合のCMスキップ率は、80%以上の確率でCMをスキップしている人が7割以上居るという事実があります。確かに、メインコンテンツである番組以外のものを排除する仕組みがあるのであれば、それを使って排除するのは理にかなっています(実際、CMスキップ機能なんてものも存在しますしね…)。

いやいや、Twitter等のリアルタイムSNSの普及で、リアルタイムにテレビを見ている人は多いはずだ! と思われるかもしれませんが、(海外の調査数値ですが)89%もの人がスマホを操作しながらテレビを視聴しており(Twitterですかね)、その操作についてはCM中に行われているであろう事は想像がつきます。

これからの日本におけるDOOH

OOHがデジタル化されることで、広告面が「時間軸」という広がりを得ます。これは、表現方法として優れているだけでなく、場の収益構造を大きく変え、より多くの経済効果を生み出せる事にもつながってきます。日本は世界的にも土地が狭く、効率的な土地活用・場の活用を考えてきた国です。そんな日本でこそ、DOOHは新たなイノベーションが起きると考えます。そのイノベーションとは、デジタルサイネージの高度化や配信システムの先進化だけでなく、先にご紹介したLIVE BOARD社や、我々esasyのような効果測定分野や、RICHKAのようなコンテンツ作成分野、さらには拡張現実や複合現実(AR、MR)分野と、多方面に渡ったものであり、それぞれのプレイヤーが有機的に絡まり合い、DOOHを盛り上げる必用があります。

また、出稿側の志向も、DOOHの発展には重要と考えます。デジタルサイネージにおいて、通常のサイン・看板に取って代わる事例も弊社で多くなってきており、DOOHの可能性をすでに感じていただいているクライアント様も増えております。これは、見た目のインパクトはもちろんの事、中長期的な視点における投資対効果をご評価いただいている点にも注目すべきです。視聴者、一般消費者の動画視聴の方法が変化したことで、動画に対する意識も変わっている事も念頭に置くべきかと思います。

まだまだDOOH後進国である日本。これからのDOOH大国を一緒に作り上げていくお客さま、パートナーさまを常に募集しております。お気軽にお問い合わせ下さい。