ABOUT CREST 2019.12.08

AI時代に求められる仕事とは? ドラミートウキョウ×クレスト 社員座談会

急速にIoT化、AI化が進んでいるいま、広告ディスプレイの世界では何が起きているのか。業界で生き残るために、必要なものとは? 「ドラミートウキョウ」のデザイナー2人と、「クレスト」で店舗営業を担当する2名の計4名で座談会を開催。広告ディスプレイの未来について、ざっくばらんに語り合いました。

<座談会メンバー プロフィール>

株式会社クレスト

石川大輝   
2017年入社。サイン&ディスプレイ事業部フィールドセールス2課マネージャー。26歳にしてサイン&ディスプレイ事業部の1営業組織を任せられる敏腕セールスマネージャー。

髙橋風児 
2018年入社。サイン&ディスプレイ事業部フィールドセールス2課シニアアソシエイト。元教員からクレストのセールスへの転職を行い、インサイドセールスを経て現職。

株式会社ドラミートウキョウ

北川はるか
ドラミートウキョウ創業者の永井と共に設立時からデザイン領域のプロフェッショナルとして様々なデザインをゼロイチで構築するデザイナー。

福地舞花
北川同様、ゼロイチのデザインを得意とし、外資系、日系問わずに様々なブランドのデザインを行う。

 <ファシリテーター プロフィール>

クレストホールディングス株式会社

永井俊輔
2009年に株式会社クレストに入社。現在ではホールディングス体制となり、株式会社クレストとクレストホールディングス株式会社の代表、株式会社ドラミートウキョウの代表を兼務している。(2019年12月時点)

「看板」は10年後、なくなっている恐れがある

 

――まずはあらためて、それぞれの会社の事業について教えてください。

石川 クレストは、クレストホールディングスの屋台骨ともいえる会社で、店舗のウィンドウディスプレイや看板、販促物などの設計・施工が事業の中心です。ファッションブランドをはじめ、さまざまな業種・業態のお客さまからご依頼をいただいています。

私は今年で入社3年目。おもにアパレルや菓子店などのセールスを担当しており、最近はセールスチームのマネジメントも手がけるようになりました。いま隣に座っている高橋も私のチームのメンバーです。

 

北川 ドラミートウキョウは、おもに店舗の「空間デザイン」を請け負っていて、今年で創業5年になります。クレストとは、創業当初から一緒にお仕事をしていて、2019年からクレストホールディングスグループの一社となりました。いまスタッフは7名。おもに私と福地の二人で案件を取り仕切っています。

 

石川 私はドラミートウキョウがクレストのグループ会社になってくれて、本当に心強いと思っているんですよ。以前から社内にデザイン機能はありましたが、マンパワーに限界があって、簡単なデザインの修正程度しか対応できていないというのが実情でした。でも、経験豊富なデザイナーの二人が加わってくれたことで、お客さまに具体的な企画を、ゼロから提案できるようになった。仕事の幅が広がりました。

 

福地 それはうれしいですね(笑)やっぱり、デザインの仕事の醍醐味は「これまでにないものを、ゼロからつくりあげること」ですから、そういう仕事をこれからもどんどんしていきたいですね。

 

――ここ数年、デジタルサイネージが急速に普及しているなど、リアル店舗にもデジタル化の波が押し寄せています。クレストの事業もその影響を受けていますか?

 

石川 ええ、デジタルサイネージやLEDビジョンを希望するお客さんは増えていますね。もちろん、マネキンやサンプル商品の展示といった既存のディスプレイが、すぐにはなくなることはないと思います。しかし、レコ-ドがCDに替わり、そのCDもストリーミングサービスに淘汰されて姿を消しつつあるように、看板やディスプレイの分野でも確実に「アナログ」の需要は減少していくはずです。

 

北川 先日、ニューヨークのタイムズスクウェアに行ったのですが、どこを見てもモニターばかり。店舗上部の看板が、モニターになっているコンビニもありました。日本もそうなっていく気がします。例えばこれまでのアナログの世界では、あるビルに入っているテナントが退店して入れ替わったとしたら、当然ビルの外壁は作り直されるものでしょう。しかし、壁面一面がモニタであれば、コンテンツを入れ替えるだけでその瞬間から全く別のお店が出来上がる。こういう世界観を目の当たりにしてしまったのです。

 

高橋 池袋や渋谷など首都圏のターミナル駅構内では、すでにかなりの数のサイネージを目にしますよね。
ビルボード広告も、全てかつては人間がシートを手作業で張り替えていました。イニシャルコストはLEDビジョンにしたほうが高くはなりますが、その後のメンテナンスを考えるとやはりデジタル化させたほうが効率的ですよね。
おそらく都市部からさらに広まって20年、はやければ10年ほどで古い「看板」が姿を消してしまうかもしれませんよね。

 

福地 さすがに10年は早すぎるような。

 

高橋 でも、デジタル技術はサイネージだけではありませんし。最近は空間に映像を投影する「エアリアルイメージング」が実用間近だという話を聞きました。SF映画とかで見たことありますよね? 空間に映像が浮かんでいるシーン。すでに技術は確立されていて、いまはどう製造コストを下げるかを模索している段階だそうです。

 

北川 実用化されれば、何もない空のウィンドウディスプレイに映像だけが浮いている――そんな光景が見られるようになるかもしれないですよね。データを書き換えるだけで映像を変更できるだろうから、工事も必要なくなる。あっという間に普及するかもしれません。

 

「ゼロからイチ」にできるのは人間だけか

 

――最近、あらゆる分野で「AI(人工知能)」の研究・開発が急速に進んでいます。将来、デザインの仕事はAIに奪われると思いますか?

 

福地 完全には奪われないと思います。ただし、手順が確立されている作業や、ビッグデータが集まっている分野はAIが大いに活躍するのではないでしょうか。たとえば、ある画家の作品群をディープラーニングさせて、その画家の作風に似た作品をAIにつくらせることには、すでに成功しているそうです。しかし、AIみずからが「作風を生み出す」ことにはまだ成功していない。結局、「ゼロからイチを生み出せるのは人間だけ」だけなんじゃないかと。

 

高橋 たしかに、AIは新しいものを生み出せませんよね。服でも、音楽でも、過去の流行作品を大量に学習させれば、その延長線上で「外さないもの」はつくるかもしれない。でも、パリコレの服ように、「これはすごい!よくわらないけど、感動した!」という突拍子もないものはつくりにくいと思っています。教師データのもたせ方によってはもしかすると突拍子もないものもできるかもしれませんが、無から突拍子もないものを想像するということはできないのは事実でしょう。 

 

北川 それに、現時点でAIよりも私達がすぐれていそうなものは、「思考のバリエーション」だろうと考えています。私たち人間は、クライアントの要望を聞いたり、最新の流行を取り入れたり、さまざまな状況を踏まえて、ときには自分の作風をすこし曲げてでも、「広告」という目的に最適なものをつくる努力をします。

その結果、ひとりの人間からいくつもの作風の異なるデザインが生まれることがあります。それに人間はチームで仕事をして、意見交換をしながらバリエーションを生み出すということもできます。しかしそうした思考や作業は、AIにはしばらくできないと思います。

 

石川 「作り手の価値」というのも人間ならではですよね。たとえば、私は自分の好きなデザイナーが手がけた服なら、どんなものでも良く見えてしまうかもしれません。でも、それが「AIがつくったものだ」と聞いたら、例えばその値段設定などに疑問を浮かべてしまうかもしれません。もの自体は近いものなのに、機械学習の結果が生み出した産物ならば、もっとコストも安くていいのではないかと思ってしまうケースもあるかと思います。

 

福地 ただ、たとえば簡単なロゴデータを作るとか、WEB広告の画像を1枚つくるとか、そういったものは徐々にAIに置き換わっている事実もあることは周知の通りです。つまり、例えばクラウドソーシングのサービス上で数千円などの価格で取引されている安価なデザインは、むしろ一気にAI等に置き換わることも考えられるかもしれないですね。

そういった意味では、AIがデザインの領域にまで踏み込んでくるのは間違いないのですが、デザインの仕事がなくなることは、絶対にないと思います。常識や一般論をグイッとねじ曲げて、新たなものを創造する。これまでなかった、世間をアッと驚かせるものをつくる。そうしたクリエイティブな営みができるのは、だろうと思います。

 

リアル店舗の「広告効果の測定」が可能に 

――では、デジタル化、AI化が加速しているなか、現在の事業を続けていくには何が求められますか?

石川 個人的には「広告効果の測定」がより重要になってくると思います。ウェブ広告の世界では、「クリエイティブを見たユーザーの何人が商品をクリックして、実際に何人が購入したのか」など、費用対効果をかなりの精度で分析することができます。

 

しかし、看板やディスプレイなどのリアルの広告は、その分析がむずかしい。そこで、いまクレストでは「esasy(エサシー)」という画像認識技術を利用した「IoTリアル店舗トラッキングシステム」を開発しています。たとえば、店舗前の交通量に対して、どれくらいの人が入店したのか(入店率)、店頭のディスプレイが、どれくらいの人に見られたのか(視認率)、さらには、そのディスプレイがどれくらいの時間見られていたのか(視聴率)など、さまざまな指標を取得可能です。

 

高橋 やはり、「デジタル」と「解析」は親和性がありますよね。いま、メガネタイプのウェアラブル端末を装着して、直接網膜に画像情報を照射するという研究もされているそうです。実現すれば、同じ店舗にいながら、ひとりひとり異なる景色を見ている、という世界もやってくるかもしれません。そうした未来では、広告効果の測定がさらに重要性を増すのではないでしょうか?こまめに広告映像を切り替えられるようになるわけですから。

 

福地 そんな世界が実際にきたとして、網膜にどんな画像を照射すればいいのか、それを考えるのもデザイナーの仕事ですよね。人間が視覚で情報を得ているうちは、デザインの仕事は絶対になくならない。人間がVR(仮想空間)で生きるだけの存在になったとしても、結局、その仮想空間をデザインするのも人間なわけですから。

 

北川 それは、ちょっとむずかしい話(笑)でも、世の中が何を求めていて、それに対して何ができるのかを常に考えていけば、どんなデジタル社会が訪れたとしても、価値あるサービスを提供し続けられると思います。