ABOUT CREST 2020.01.23

【東集×クレスト社員対談】 「製材業」でイノベーションを起こす方法とは?

レガシー産業でイノベーションを起こし続けている株式会社クレスト、クレストホールディングス株式会社に、2019年9月、集成材の製造・販売を行う「東集」が新たに加わりました。製材業でこれからどのようなイノベーションを起こしていくのか、長年東集で営業を担当している又吉浩さんと、家具メーカーからクレストに転身した松井亮さんに話を伺いました。

<プロフィール>

永井 俊輔(写真 中央)
現在ではホールディングス体制となり、株式会社クレスト・クレストホールディングス株式会社の代表、株式会社東集・株式会社ドラミートウキョウの代表を兼務している。

 

株式会社クレスト  松井亮(写真 右)
2018年入社。サイン&ディスプレイ事業部フィールドセールス1課

 

株式会社東集  又吉浩(写真 左)
2012年入社。東京東営業部  営業

レガシー産業の内部からはイノベーションは起こせない

 

――まずはお二人の経歴を教えてください。

 

松井:私は岐阜県の出身で、大学卒業後は富山県にある設計事務所に就職しました。その後、地元岐阜の大手家具メーカーに転職。創業100年の会社で、従業員は500名弱です。そこで6年ほど営業を担当したのですが、東京でもっと新しいことに挑戦したいと思って2018年にクレストに転職しました。現在、店舗を中心にディスプレイや内装案件の営業を担当しています。

 

又吉:私は東京の江東区で生まれ育った“都会っ子”です(笑)。大学卒業後の2012年に新卒で東集に就職したのですが、正直、とくに木材などに興味があったわけではなく……。じつは満員電車に乗るのが昔からイヤでイヤで仕方がなく、それで電車通勤をしなくてもいい地元・江東区にある東集に就職したというわけです。

そんな理由で就職した会社ですが、数年経った頃から木材・そして東集の得意領域である集成材加工の奥深さもわかってきて、今ではやりがいのある仕事だと感じています。とくに2019年9月にクレストホールディングスのグループ企業に加わってからは会社の体制がガラリと変わって、IT化が進み、営業面でもすぐにマーケティングの機能が追加され、外勤の営業においてもKPI経営がはじまり、一層やる気が出ていました。ここから先の自社の変革が非常に楽しみになってきました。

 

――というと、以前は会社の先行きが不安だったということですか?

 

又吉:ええ、会社の体質が古くて、時代の流れについていけてないというか……。近年、国内の新築着工件数の減少にともない木材需要は減少が続いています。木材業界全体が縮小傾向にあり、当然、東集の業績も下り坂だったのですが、職人気質の旧経営陣は「いい仕事を続けていればどうにかなる」という感じで。もはやそう悠長なことは言っていられないのに、何もしようとしない。このままではジリ貧だと、ずっと歯がゆい思いをしていました。

 

松井:それ、わかります。私もクレストに転職する前、同じような気持ちでした。家具メーカーも職人の世界。保守的で新しいことに挑戦したがらないし、とくに歴史ある会社だと、経営陣は過去の成功体験にしがみついてイノベーションを起こそうとしない。その結果、10年先、20年先を見すえた長期的なビジョンを示されないまま、ただ短期的な売り上げ目標を設定されてひたすら営業させられるという……。家具が好きで、志を持って入社してきても、そうした体質に幻滅して止めていく若者は多かったですね。

 

又吉:絶望的といっていいほど、社内のIT化が進んでいないことも不満でした。たとえば、いまだ材木店や工務店からの注文書はおもにファックスで届きます。これは旧東集だけではなく、木材業界全体の問題でもありますが、メールにすれば営業先から注文を確認できるし、その後のやりとりもかなりスムーズになりますよね。一般的な企業では考えられないほどアナログな点が多くて、働いているとストレスが溜まる。「もっとデジタル化すれば、効率的に働けるのに!」と、やる気がある若手社員ほど不満に感じていたと思います。

 

松井:前職の家具メーカーも受発注はファックスが基本でした。かなり「レガシー」だったのですが、でも、そのことにはっきりと気づいたのはクレストに転職してからです。レガシー産業のなかで働いていると、自分たちが時代から取り残されつつあることに気づけない。染まってしまうんですよ。

 

又吉:「レガシー」から脱却できるかどうかは、経営者次第ですよね。経営者のITリテラシーが低ければ、いくら現場が望んでいてもIT化は進みません。いま東集の経営がクレストホールディングスに変わったことで、どんどんIT化、デジタル化が進んでいくと思います。

 

製材業でもDtoCが起こる恐れがある

 

――今後の木材業界はどうなっていくと思いますか?

又吉:やはり人口減少にともなって、今後も住宅着工件数は減少していくと予想されます。そのため木材関連の会社は2~3年のうちにかなり淘汰されるのではないでしょうか。ただし、木材需要が完全になくなるわけではないので、高品質の木材をより安価に提供できる会社は生き残ると思います。本当に必要とされる会社はなくならないので、そうした存在に東集もならなければいけません。

いま「DtoC」(Direct to Consumer)というビジネスモデルがあらゆる産業で注目されています。メーカーが卸や小売店などを通さずに直接、消費者に商品を販売するというモデルで、わかりやすいのは「音楽」です。ひと昔前まではアーティストのCDを音楽会社が制作して、それを流通に乗せて小売店で販売していたのですが、いまでは音楽会社、あるいはアーティストがECサイトで楽曲データを直接販売しています。

 

松井:そのおかげでだいぶ価格が下がりましたよね。昔、CDのアルバムは10曲3,000円、つまり1曲300円程度でしたけど、ダウンロードによって1曲150円になり、そして今はサブスクリプションによって定額聴き放題という概念にガラリと変わりましたからね。

 

又吉:そうですね。CDを製造する工場、運送会社、小売店など、さまざまな関連企業が必要なくなった結果ですよね。そこが得ていた利益が、消費者に還元されたということでしょうか。これと同じことが木材業界でも起こるのではないかと思っています。

 

住宅用の木材の流通経路はおおよそ次のような流れになります。①「森林業者」(木を伐採する)→②「原木市場」(丸太を販売する)→③「製材業者」(丸太を製材に加工する)→④「木材問屋」(製材を売る)→⑤「工務店」「ハウスメーカー」(製材で家を建てる)。

 

東集は③の「製材業者」にあたりますが、木材業界も「DtoC」が進めば、淘汰されるおそれがあります。たとえば、①の「森林業者」が製材まで行って、⑤の「工務店」「ハウスメーカー」に直接販売することも考えられるわけです。そして流通経路が簡略化されるほど商品価格は安くなりますから、結果的に家を安く建てられることになります。消費者(住宅購入者)のことを考えれば、木材業界の「DtoC」化は自然の流れかもしれません。

 

松井:そうなると、市場規模は縮小しますよね? 無駄なやりとりがカットされるわけですから。

 

又吉:おそらく。でも、それは業界にとっていいことではないでしょうか。無駄がなくなって消費者の利益につながるわけですから。こうした業界の無駄を省くことにビジネスチャンスが隠れていると思いますし、「無駄な存在」と思われないように高付加価値のサービスを提供していかなければいけないと思います。

 

「物流の改善」が製材業界の最大の課題

 

――では東集が今後、解決をめざす製材業界の課題はなんですか?

又吉:まっさきに思いつくのは、ラストワンマイルの物流です。とてもおかしなことになっている。工務店の大工さんが翌日使う材木を前日に発注してくるなど、注文から納期までの時間が極端に短いため、効率的な運搬ができていません。

 

もし前もって注文をもらえれば、効率的な輸送ルートを組んで複数の建築現場を一台のトラックで回るということが可能になりますが、現実的にはギリギリの注文が重なることが多いので、極端にいえば現場の数だけトラックを手配しないといけないという感じです。本当に無駄が多いんですよ。

 

松井:じつはいま、それと同じようなことがディスプレイ業界でも課題になっています。

 

たとえば、デパートの内装工事やディスプレイ設置作業は、各ショップ様からご依頼をいただいているため、クレストでも同じデパート内のショップAとショップBの内装工事を、別々のチームで行わざるを得ないときがあります。

 

また、ショップCの工事をした翌日に、同じデパートのショップDの工事をするということも少なくありません。先方の要望だとはいえ、ショップCに一日我慢してもらって、CとDを同日に工事するなど、もう少し効率的に作業できないものか考えています。

 

又吉:同日に作業できれば、工事費を下がられますよね? それまで、一人の職人さんが1日1件しか作業できなかったものが、3件作業できるようになれば、1件あたりの単価を下げられるわけですから。

 

 

松井:そうですね。その一方で職人さんの取り分は増えますよね。単純に3倍の金額を支払うのは難しいと思いますが、おそらく1.5倍~2倍ぐらいは支払える。ショップは安く工事ができる、職人は収入がアップする、クレストは売り上げ増える……効率化が実現すれば「3方よし」になるわけです。

 

こうした効率化を行うためには、より多くのショップ様から仕事をいただくことが、まず重要です。もし、1日でデパートのワンフロアすべてのショップの工事をやれるようになれば、かなりコストダウンを図れると思います。案件がまとまると、効率化の効果が大きくなりますし、いろいろな効率化のパターンを採用することができます。そのために、まずは営業をしっかり頑張っていきたいですね。

 

又吉:顧客数を増やすことは、データを集めるという点でも大切ですよね。たとえば東集の場合は、多くの工務店さんから木材の発注データを集めることができれば、今後トレンドになっている木材の種類を割り出して、需要予測ができるかもしれません。また、エリア分析をして、受注が集中しているところに集中的に営業を行うという方法もとれるかもしれません。

 

なかなか簡単ではありませんが、工務店のデータを集めて横並びで分析できるシステムをつくりたいと思います。それにはやはり、まず営業ですよね。地道なことをコツコツ積み重ねて、将来、大きなイノベーションを起こしたいですね。